野球打順一考
小谷研から持ってきたデータをいじってたら懐かしい研究結果が出てきたのでせっかくなのでご紹介。
思い出しながら書いているので、いわゆる論文的な書き方になっていないのでご了承を。
研究室時代に全体ミーティング*1の順番が回ってきたのに、
当時ゆうちゃんいじるの飽きてたこともあって何もネタがねえぞと思ったので、
前からやってみたかった野球の解析を遊びで試してみたものです。
野球シミュレータというものを作って、
- 打順ごとの特性を調べたい
- 最適打順を制御したい
- 全員イチロー対全員松井の試合結果を調べたい
という疑問に対してシミュレーションで答えちゃうぞといったものでございました。
具体的に野球シミュレータってどういうものかというと
- 入力として与えた成績に基づき確率的に打席結果を返す
- 打席結果によって打者・走者を制御する
- チーム得点や選手成績や走者データ等を出力する
ものでして、入力の成績を変化させることで様々な結果を出力できるものです。
たとえば、100打席、20安打、10二塁打、1本塁打
を入力された選手は安打:20%、二塁打:10%、本塁打:1%、アウト:79%の確率で結果を返します*2。
走者は、野球盤ルールでそれぞれ進むことになります。
入力データとして使ったのは、2008年度ジャイアンツレギュラー成績です。
1番鈴木、2番木村、5番スンヨプ、8番坂本 とかの時代です。
懐かしいですね。その年優勝しましたね、素晴らしいです。
手元に実験データがあるのは、上記の1,2の二つだけなのでご紹介。
まず各打順特性として、以下の点を検証しました。
- 打点を稼ぎやすい打順は?
- 打席に立つ際にランナーが多い打順は?
この打順が分かれば、その打順に成績が良い打者を配置すれば良いことになります。
実験方法は以下の通りです。
- 1番から9番まで同じバッターを配置し100000回試合を行う
- 打順ごとの打点やランナー数を取得する
- 上記1,2に対して、ラミレス(長距離砲)、谷(中距離砲)、坂本(短距離砲*3)という様々な打者を用いる
なお結果は、3打者とも同じような結果となったので、以降ラミレスだけ表示してみます。
つまり、打者の特性にかかわらず、打順ごとの特性は変わらないということです*4。
まず、各打順ごとの打点は以下のとおりです。
横軸が打順、縦軸が打点の合計です。
結果として、5番が最も打点を稼げるということがわかりました。
1番が打点が低いのは、初回はランナーがいないせいでしょう。
6番以降打点が下がるのは、試合が終わってしまうと下位打線は回ってこないためだと思います。
まさかの5番最強説ですが正直本当か?でした。
4番最強だと思って今まで生きてきたので。
だけど、打点自体は5番が稼げるということみたいです、実験結果は正直です。
ちょっと腑に落ちなかったので、打者が打席に立った時のランナー数の合計を出してみました。
結果は以下のとおりです。
横軸が打順、縦軸がランナー数の合計です。
この結果、4番のときランナーが最も多いと言うことがわかりました。
やはり、ランナー数が多いということは経験的に分かっていて、
4番に最強打者を置くということは理にかなっていたようです。
だけど、ちょっとまて・・。
5番が打点が多いのに4番のランナー数が多いっておかしくないか?
ということになりました。
なりますよね?
もしかすると、ランナーの位置が関係しているのか・・・?
なんて思ったので、以下のような「期待ランナー位置」という値を定義して、打順ごとの特性を調べてみたのです。
期待ランナー位置=ランナーがいた時の塁の総和/総ランナー数
この値で何がわかるかというと、この値が大きいほどランナーがいたときに、より本塁に近いということがわかるわけです。
つまり、長打なしでランナーを本塁にかえせるということです。
結果は以下のとおりでした。
横軸が打順、縦軸が期待ランナー位置です。
これ結構おもしろい結果だと思います。
5番が結構高く、4番は結構低いというわけです。
つまり、5番打者が打席に立つときは、ランナーは本塁に近いということ。
つまり、4番打者が打席に立つときは、ランナーは本塁に遠いということ。
このことから、5番はランナーは4番ほど多くなくても打点は稼ぎやすくなるというわけですね、納得。
このグラフ結構面白い形になりますが、どの打者でも同じグラフになるのが面白いかったです。
ということで、当時出した結論
- 4番打者はランナーが多いけど本塁から遠いので、長打が打てるバッターが良い
- 5番打者はランナーが4番ほど多くないけど本塁に近いので、打率が高い打者が良い
だから、5番に打率が高くない清原を置いていた暗黒の時代とか、調子の上がらない小笠原を置いていた今年の序盤などはなかなか勝てなかったんだなあって考えるとなんかぼくの結論があってそうで、急にわくわくしてきた*5。
また、3番と5番って似たような打順に思われるけど、実はランナーの位置とか考えると、しっかりと役割分担をしないといけないようですね。
最適打順制御についても書こうと思ってたけど飽きた。。。ていうかなんかすごい書いたな・・・。
気が向けば書きます。簡単に書いておくと、山登り法使いました。
将棋書いてねえ・・・。